私たちの活動

私たちは、例えガンの末期の患者さんであっても、最後まで地域の中で、 尊厳と自立をもって暮らすことができるコミュニティづくりを目指し、 2005年10月から東京都小平市にある『ケアタウン小平』を拠点に活動を開始しました。

そして、それを支える理念を「コミュニティケア」と呼び、当法人はその展開における中核を担いながら、 ケアタウン小平に事業所を構える様々な事業体とともに、医療と介護の新しいネットワーク作りを実践しています。

私たちの活動におけるコミュニティの範囲はケアタウン小平から約半径3キロメートルを想定しています。
では、従来型のネットワークとはどこが違うのでしょうか。それは医療と介護のチームのあり方だと考えます。

従来の在宅医療介護におけるネットワークとは

下図のように複数の事業体が在宅のある患者さんを訪問したとしても、各事業体はそれぞれの拠点に戻ります。
そのため、情報の共有がスムーズにいかず、日常的にきめ細やかなチームケアを必要とするホスピケアを提供することが困難な場合が起こります。

従来の在宅医療介護におけるネットワークとは

私たちが展開しているケアタウン小平型チームとは

各事業の拠点が同じ建物にあるので、上記の課題を解決できると考えています。 各事業が異なる時間に一人の患者さんを訪問しても、同じ場所に戻ってくることができるので、速やかに情報を共有し、 質の高いチームケアを提供することができます。つまり、私たちのチームはホスピスケアの理念を共有しながら動くことができるのです。
※上記以外にも地域にある他の事業所ともチームを組みます。

私たちが展開しているケアタウン小平型チームとは

NPO法人の事業活動と他の事業体について

ケアタウン小平の1階には、NPO法人が運営する訪問看護ステーション、デイサービスセンター、 ケアマネジメントセンター、子育て支援事業の拠点となるアトリエなどがあります。
訪問看護ステーションではホスピスでの終末期医療に従事してきた看護師もおり、ターミナルケアにも積極的に取り組んでいます。 平均すると月に4から5名の方の看取りをお手伝いしています。がん末期の方に限らず、慢性疾患の方や、 神経難病の方へも24時間体制でケアを提供しています。
デイサービスでは当初より「重症の方やそのご家族の在宅療養を支えるには、訪問サービスだけでは十分ではなく、 長時間ケアが受けられ、家族の休息にもなりえる通所サービスが必要」との考えから、医療的ケアの必要な方、 要介護度の高い方も多く利用されます(利用全体の約3~4割)。

そのほかの事業体

同じ一階には、在宅医療専門の『医療法人社団悠翔会ケアタウン小平クリニック』があります。 名誉院長の山崎章郎医師は、当法人の理事長でもあります。在宅緩和ケア充実診療所として、 医師が訪問診療・往診によって24時間体制でケアを提供します。

二階と三階は、賃貸アパート『いつぷく荘』です。ケアタウン小平の土地と建物を管理運営する大家さんがいます。 (株)暁記念交流基金です。高齢でも、病気を抱えながらでも一人暮らしをしながら自立した生活をしたい、 と考える方々が入居されています。生活、療養する中で困った部分を介護保険や医療保険などの制度に基づくサービスや、 地域にある様々なサービスを利用しながら生活されます。私たち一階の事業者も家賃を払い活動しています。

制度の限界を越えるボランティアの力

ケアタウン小平での活動が始まってから、多職種の連携によって、在宅ケアを受けられた患者さんのうち約7割の方が、 最後まで在宅で過ごすことができました。これは、在宅であっても、 きめ細やかなホスピスケアが提供されたことによって可能となった数値といえるでしょう。 また、地域には在宅療養を望む方が潜在的に多いことも改めて実感しています。

このような医療と介護のネットワークを支えてくれる存在が「ボランティア」です。 制度によるサービスの限界を、地域のボランティアさんの力を得て越えていきます。 専門家の力だけは支えきれない「その人らしさ」をともに支えます。 また、ともにケアの場に参加することで、地域のケア力が高まります。 「ボランティアを含めた他職種によるチームケア = ホスピスケア」です。

NPO法人コミュニティケアリンク東京は、訪問看護・通所介護の他に、(2)~(7)の事業も行っています。

(1)在宅療養支援・在宅ケア事業
・デイサービス事業
・訪問看護事業
・居宅介護支援事業
・ナイトサービス事業(今後の予定事業)
(2)緩和ケアに関する心理相談事業(今後の予定事業)
(3)豊な庭づくり事業
(4)文化・スポーツ倶楽部事業
(5)子育て及び子どもの教育に関する相談支援事業
(6)地域のボランティア育成事業
(7)医療や福祉に関する各種セミナー及び講演会、地域交流などの企画、運営事業

互いに支え合うホスピスケアの理念は徐々にコミュニティに浸透しつつあります。

例えば子育て支援では、大人と子どもが定期的に集い、遊びの会を開いていますが、 時には「いつぷく荘」の入居者やデイサービスのご利用者も参加します。 子どもの声が響くことによって、ケアタウン小平は地域の一部となりましたし、 子どもたちはここで小さい時から互いに支え合うことの大切さを学びます。 次世代へ、コミュニティケアをつなぐことができると考えています。

今では、幼児をつれた近所のお母さんや放課後の小学生がデイサービスに立ち寄ったり、 友達と待ち合わせて中庭で遊んだりするごく自然な姿がみられます。 ここは地域の心地よい居場所となっています。お年寄りは老人施設、病人は病院、子どもは学校、 とそれぞれの施設に閉じられるのではなくつながりあう必要を今、まさに感じています。

2008年からは、ケアタウン小平の事業体が関わり逝去された方の遺族を対象に、 遺族会「ケアの木」が設立されました。同じ地域に住み、「大切な人を亡くす」という共通の体験をした人同士が、 ケアを通じた新たなつながりを持ち、交流会などお互いに支えあうことや楽しく生活を送れるような企画を世話人会で考え活動を開始しています。

ケアタウン小平は2007年から、『ケアタウン小平応援フェスタ』という集いを開催しています。 各事業の利用者さんやそのご家族、そして地域の住民との交流を目的としたものです。 地域の皆さんにケアタウン小平を応援していただく。そして同時にケアタウン小平の存在が地域の皆様を支える。 お互いに支え合うことの思いを共有するための催しです。 ケアタウン小平で活動するスタッフ・ボランティアの日ごろの活動が説明会や商品、展示物を通して約400名近くの来場者に伝えられます。

会の最後にはみんなが書いたメッセージを風船にこめて飛ばします。 この風船は自然にかえるという環境に優しい素材でできているものです。

子どもからお年寄りまで、みんなが見守る中1000の願いがこもった1000個の風船が大空に放たれます。 願いをこめた風船が大空に広がったように、私たちの目指す理念もまた大きく広がっていくよう、これからも歩んでいきたいと思っています。

ケアタウン小平応援フェスタ